マドリードのサン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂(ゴヤのパンテオン)はゴヤのフレスコ画を無料で鑑賞できる

マドリードにあるゴヤのパンテオン=サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂はゴヤが描いた天井のフレスコ画で有名。ゴヤのパンテオンの愛称で呼ばれているのは現在ゴヤのお墓になっている為。実はそのお墓の遺体には首が無いそうで今も何故首が無いのかは謎のまま。建物が質素で通り過ぎてしまいそうなくらいだが内部はゴヤのフレスコ画で輝いている一見の価値ありです。

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サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂(ゴヤのパンテオン)


ゴヤのパンテオン2つの礼拝堂

実はゴヤのパンテオンに2つの同じ形の礼拝堂がある。最初にひとつの教会が1798年にスペイン国王カルロス4世の命により建てられた。現在はマンサナーレス河のほとりに小さな教会が2つ並んでいる。向かって右側(プリンシペピオ駅に近い方)の天井にゴヤのフレスコ画「パドバの聖アントニオの奇跡」が描かれておりゴヤのお墓になっている。地元の人々に古くから大変人気のある礼拝堂でお祈りに来る人達の蝋燭(ろうそく)の煤(すす)でフレスコ画が傷むので1928年に同じ形の礼拝堂を左側に作り礼拝などの宗教的行事はそちらで行われる。ゴヤのパンテオンと呼ばれるのは向かって右側の建物。

<マドリード、サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂・ゴヤのパンテオン>

サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂
マドリード、サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂、筆者撮影

 

聖アントニオの御利益

ゴヤのパンテオンの天井に描かれるフレスコ画のテーマは聖アントニオの奇跡の場面。聖アントニオはポルトガルのリスボンで貴族の家に生まれ(1195年)イタリアのパドバで若くして亡くなった聖人。説教がうまく数々の奇跡を起こした。カトリックの各聖人には色々なパワーが備わっているが聖アントニオの御利益はお祈りをすると恋人が出来て失くしたものが出てくるという聖人。今も聖アントニオの日(6月13日)には若い女性達が沢山訪れる。セニョリータ達がそれぞれの想いを胸に手に「マチ針」を持ってその針を清めの水に納め願いをかける。

聖アントニオ(1195~1231年)の御利益*失くし物、結婚、縁結び、花嫁、愛、老人、動物の守護聖人。

ゴヤの天井画(フレスコ画)聖アントニオの奇跡

聖アントニオの奇跡:殺人罪に問われた父親の無罪を民衆の見守る中奇跡を起こし、死人に無実を語らせたというリスボンでの出来事。1798年まだ若いゴヤの作品。ゴヤは聖人の奇跡の物語を生き生きと当時のマドリードの民衆の様に描いていて笑い声やざわめきが聞こえてきそうだ。残念ながら内部の撮影が禁止なのでwikipedia からの写真を借用=ゴヤのパンテオン天井画

ゴヤの天井画
wikipedia public domain

ゴヤのパンテオンはゴヤのお墓

ゴヤのパンテオン内部に入ると祭壇の下にはゴヤのお墓が有る。ゴヤは82歳でボルドーで客死し遺体はボルドーのシャートルーズ墓地に埋葬された。

ゴヤのお墓
wikipeida CC BY 4.0
Source Own work
Author José Luis Filpo Cabana

ゴヤのパンテオン:首が無い遺体の謎

実はこの中に入っているゴヤの遺体に首が無いというか頭が無いのだ。そして真相は謎のままだ。ゴヤが埋葬された後61年後の1888年11月16日に遺体を発掘した。フランス側からスペイン政府に遺体を搬送することが決まった時の電報でスペイン政府は「ゴヤの遺体を移送せよ。首があっても無くてもだ・・・・」という事はこの時に既に首は無かったのか?

ゴヤの遺体はは死後何度も移動しているそうだ。マドリードに来た時も最初はサンイシドロ教会に埋葬された。その後1919年にサン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂に移動されている。

1950年6月13日に当時のABC新聞に載った記事。ゴヤは友人のマルティン・ゴイゴチェアと共にサン・アントニオ・デ・ラ・フロリダにそれぞれの棺にいれて埋葬された。そこに羊皮紙で「偉大なる画家の頭蓋骨は無い。医者に科学的調査の為渡されたがその後このような状態で発掘された。」と記述があるらしい。

実は当時のヨーロッパの医学界で流行していたFrenologia=骨相学という学問が有った。神経科学のひとつで人の脳は多くの器官から成り立っており人の才能や個性を決定するの脳と骨であるという説で現在では否定されている。最後のゴヤのフランスでの主治医が骨相学の支持者だったという説があるが信頼できるドキュメントは残っていない。

今も「ゴヤの頭はどこや」と研究をしている学者がいるらしいが盗掘説もあり真相は謎のまま。サン・アントニオ様にお願いをしてゴアの頭を見つけて貰うという方法はためしたのだろうか・・・。

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ゴヤのパンテオン:現在の礼拝堂は隣の建物

向かって左側に同じ形の建物があり現在礼拝堂として使われている。中に聖アントニオのお像がありミサや宗教行事が行われる。

サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂
マドリード、サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂

カーニバル灰の水曜日

カーニバルの最後の日「灰の水曜日」毎年このゴヤのパンテオン前からイワシの埋葬の行列が出る。セニョールたちがぶら下げる(写真下)この小さな箱の中に作り物のイワシが入っていて時々立ち止まりブツブツとお祈りを唱えては進んで行く。私はこの行列の最後までは付いて行ったことは無く、もしかしてイワシのグリルが振舞われるのでは・・・と思っているので是非行ってみたいと思っている。

イワシの埋葬の行列
イワシの埋葬、筆者撮影

写真下はゴヤのイワシの埋葬という作品。マドリードに有るフェルナンド美術アカデミーで鑑賞できる。

<ゴヤのイワシの埋葬>

ゴヤのイワシの埋葬
wikipedia public domein

 

すぐ横に有るシードラヤ屋(シドレリア)は地元人気店

ゴヤのパンテオンのすぐ横にあるメゾン・カサ・ミンゴ Casa Mingoは100年以上続くシードラ(リンゴの発泡酒)屋で地元人気店。チキンの丸焼き(ポージョアサードPollo Asado)が有名。朝11時から23時頃まで開いている。週末の14時頃は地元の家族連れで賑わっている。サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダからメトロのプリンシペピオ駅まで飲食店が沢山あるのでお昼前に行ってこの辺りでランチも良いですね。

シードラ屋
マドリード、サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂横シードラ屋、筆者撮影

ゴヤのパンテオン:ゴヤの銅像

ゴヤのパンテオンの向かい側にゴヤの銅像がある。プラド美術館の物より威厳があって個人的に好きです。頑固者らしい感じが出ている。ゴヤはアラゴン人で頑固者で「自分の頭で釘が打てる」と言われていたその頑固さが良く出ている。

ゴヤの銅像
マドリード、サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂

銅像の下にゴヤのサインが拡大されて彫刻になっていた。

ゴヤの銅像
マドリード、サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂、筆者撮影

ゴヤのパンテオン:サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ詳細


場所 Glorieta de San Antonio De La Florida

時間:火曜から日曜日:9時30分から20時(開館時間は予告なく変更があります)

休館日:月曜日、1月1日、6日、5月1日、12月24日、25日、31日

値段: 無料、写真不可

市役所のホームページ  http://www.madrid.es/ermita

ゴヤのパンテオン:サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ教会行き方


メトロ:Principe pio(10号線、6号線)から徒歩10分

路線バス:スペイン広場から75番、46番のバス、アトーチャ駅近くから41番のバスでサン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ下車直ぐ

 

メトロだと結構歩くのでバスがいいかもですね。もちろんスペイン広場から歩きも可能です。

スペイン広場からの地図

投稿者: 大森由美

スペインに1989年から住んで日本からのお客様と旅に行ったり美術館を巡ったりしています。お休みの日は夫とキャンピングカーで放浪、スペインに長年住んでもスペインが大好きで日本から来たお客様にもスペイン大好きになってもらうために働いています。趣味はバイオリンとスキーとワイン。