アストゥリアスはスペイン北部の海と山に囲まれた緑の多い地域。私たち日本人のスペインのイメージからはかけ離れた景観が続き「グリーンスペイン」「緑のスペイン」と呼ばれる
スペインの歴史の中で重要なレコンキスタが始まり最初のキリスト教王国が作られたところでコバドンガやカンガス・デ・オニス等歴史に出てくる都市やピコス・デ・エウロパという険しい山やコスタベルデと呼ばれる等の自然の景観が楽しめるところです。
首都オビエド
アストゥリアス州首都のオビエドは人口22万人の小さなこじんまりした街。ゴシック様式の大聖堂を中心に綺麗な旧市街。魚市場やシードラ屋、町中に銅像等があって散策するにもちょうどいい規模の美しい街。初めて行ったときに懐かしいような親近感を感じたのは山と海が近い小さな町に日本の素朴な綺麗な街が記憶の中でリンクしたと感じている。
大聖堂
ゴシック様式のサン・サルバドール大聖堂。中のカマラ・サンタにはビシゴート王国崩壊の時トレドから持って逃げた宝物、コバドンガの戦いでペラヨが使った十字架そしてなんと聖骸布。埋葬されたイエスキリストの頭を包んでいた布です。。聖骸布というとイタリアのトリノが有名ですがこちらも同じく聖骸布。1メートルx0.6メートルで重厚な箱にしまわれていて年に3度一般公開されます。
カンポアモール劇場
毎年11月スペイン皇太子賞の授与式が行われる劇場。1981年から行われているスペインのノーベル賞にあたるもの。各界の貢献者に賞金5万ユーロとミロデザインのトロフィーが授与される。2011年には「福島の英雄」<東日本大震災で活躍した消防・警察・自衛隊の現場の指揮者5人に授与された>当時まだ皇太子だった現スペイン国王フェリペ6世は2017年日本に行った折ぜひまたあの「福島の英雄達に会いたい」と希望され再会を果たした。
ナランコ山に世界遺産のアストゥリアス建築
近くのナランコ山には世界遺産のアストゥリアス建築(プレロマネスク建築)がある。ロマネスクが始まるより前に高度な技術で天井を支えた石の建築でサンタ・マリア・ナランコとサン・ミゲール・デ・リーリョ、少し離れてサンタ・クリスティーナ・デ・レーナ教会等プレロマネスク建築群として世界遺産に指定されています。
ピコス・デ・エウロパ国立公園
アストゥリアスにあるピコス・デ・エウロパ山脈は海から30キロメートルの所に突然2500メートル級の険しい山脈。浸食によりギザギザになった石灰岩の峰は遠洋漁業から戻った船乗りたちによってヨーロッパの頂<ピコス・デ・エウロパ>と名付けられた。トレッキングコースや本格的な山登り、かわいい村があり独特の景観が素晴らしい。
1<フエンテ・デ>
ピコス・デ・エウロパの山に囲まれた標高1000メートルの地。国営ホテル「パラドール」は近代的な建物で快適な滞在が出来る。アストゥリアスでも最も人気なのは気軽に山が楽しめる。パラドールの横にロープ―ウェイがあり山頂駅迄運んでくれるので360度の景観は迫力。そこから山道を歩いて山小屋迄行くことも可能。地元のエージェントがやっている4輪駆動のジープで回るコースなども各種。山登りが得意でなくても険しい山が楽しめる。
2<カーレス渓谷>
ポンセボとカインの間にいくつかのトレッキングコースがあり山の中の散策又は本格的な山登りも出来ます。その中の代表的なコースを3つ紹介します。
<①ポンセボからブルネス>
ポンセボからブルネスに向かう登り1時間30分くらいでかわいい街ブルネスまで。登山電車フニクラで登ることも可能。ブルネスに着けばバルやルーラルハウスなど宿泊施設もある。
ポンセボからブルネスへの道
ポンセボからブルネス間は川沿いに登り道結構激しい部分もあるけど山の中景色がいいので初心者でも子供連れでも大丈夫。
ブルネスの村
<②ルタ・デ・カーレス>カーレスルート
プエンテ・デ・ポンセボからポサダ・デ・バルデオンまでの片道12キロのルート。コースは平らで難しくはないが谷底が見える険しい景色を見ながらのドキドキするルート。往復すると24キロ。帰り道同じ道を歩かずルートを離れても帰れるが危険なところもあるので子供連れなどは本道を行くこと。
<③パンデバノからブルネスの山小屋迄2時間45分>
最初は山が見えないが途中からこの変わった形のウリエジュ(Urriellu)山を目指して登る景色のいいコース。最後の方は急な山道が続く。ウリエジュ山はブルネス・デ・ナランホという名前も持っているがなぜかこのウリエジュと言う名前が気に入ってこちらで紹介しています。
最初はこんな感じでなだらか
<Pico de Urriellu が見えてくると急な山道>
肩のところに山小屋がありそこまで2時間45分。途中から急な登りになります。本格的な登山シューズや水や防寒具が必要。
3<コバドンガ>
行き方 オビエドからバスで1時間40分から2時間30分。
<サンタクエバ>
アストゥリアスはスペイン発祥の地と言われる。ビシゴート王国崩壊の時トレドから逃れたキリスト教徒たちが隠れ住みペラヨ率いるキリスト教徒軍が722年最初にイスラム教徒から勝利を得たところ。険しい山の景色が続く深い谷の中にある聖域。<サンタクエバ>聖なる洞窟は勝利に導いてくれた聖母マリアを讃えて作られた。アストゥリアスの守護聖人ラ・サンティ―ナやペラヨのお墓、ペラヨの娘婿アルフォンソ1世のお墓。礼拝堂は人々がいつも祈りを捧げている。
<バシリカ聖堂>
バシリカ聖堂はネオロマネスク様式19世紀後半の建造。山の中にいこの教会からの鐘が鳴り響く。コバドンガからさらに山道を車で登って行くとエルノ湖とエルシナ湖。コバドンガからバスが出ている。
<カンガスデオニス>
ペラヨがコバドンガの戦いでの勝利の後宮廷を置いた町。アストゥリアス王国の首都があった街です。石のローマ橋(実際は中世の橋)と川の景観は素晴らしいが他には特に何もない。2キロくらい離れた所に元修道院だったパラドールがあります。
<カンガス・デ・オニスのローマ橋>
カンガス・デ・オニスのローマ橋はローマ時代の物ではなく中世に作り直された。この町は他に見るべきものはない。
スペインの歴史はこの記事です <レコンキスタの始まり。トレド陥落からレコンキスタ>
コスタベルデ
アストゥリアスの大西洋海岸線を「緑の海岸」<コスタベルデ>と呼ぶ。入り江の小さな漁師町や透明な水のビーチ等まだあまり観光地化していない素朴な街が沢山。緑の牧草から突然切り立った断崖絶壁、その向こうに透明で青い大西洋の荒波がザブーンと音を立てる。
ヒホン
ヒホンはアストゥリアス随一の大きな町で人口280万人ヨットハーバーや綺麗な広場等。中心部は昔の漁村のムードも残っている。オビエドからバスで40分。頻繁に出ているのでオビエドからの日帰りでも可能。
クディジェロ
コスタベルデにはきれいな小さな町が続く。美しい入り江の漁師町がありこれぞアストゥリアス。坂に向かって町が広がりどこに登っても絵になる景色。
プラヤ・デ・シレンシオ
アストゥリアス・コスタベルデで一番きれいだと言われている海岸。道路は崖の上なのでかなりの坂道を下りていく。その分静かで人が少なく海が綺麗。
ルアルカ
アストゥリアスには絵になる綺麗な漁村がいくつもある。昔は大西洋はクジラが沢山いたのでクジラ漁が盛んだった。嵐の日は船主たちは多数決で漁に出るかどうかを決めたそう。
ラストレ
向こうにピコス・デ・エウロパ山脈が見える。冬は山は雪で覆われ真っ白な山脈が街の向こうに見えて綺麗。昔は敵から見つからないように入り江の山肌に人々は住んだ。
ブエルナ
コスタベルベルデの水は透明で冷たい大西洋の風が吹いて波の音がドーンと遠くから聞こえる。ブエルナは小さな綺麗な村で入り江のビーチも綺麗でした。
タソーネス
皇帝カルロス5世が最初に到着した港。船で髭をそり身づくろいをし香水も振りかけて下船したがあまりにも田舎でお気に召さなかったそうです。小さな漁村でシーフードレスランが並びスペイン人の観光客でにぎわっている。
アストゥリアスで何を食べる
アストゥリアスの名物は色々。海のそばなので魚介類はもちろん山には放牧地があるのでお肉も美味しい。有名なのはヤギのチーズ、豆の煮込み<ファバダ>と<コシード・マラガト>。<ファバダ>は白い大きな親指位ある大きな豆の煮込み。<コシード・マラガト>はエジプト豆の煮込み。飲み物はシードラ=リンゴの発泡酒です。素材がいいので何でもおいしい。一皿が無茶苦茶大きいので注意です。
<写真はファバダとアサリの煮込み>
行き方
マドリッドやバルセロナから飛行機やバスでオビエドまで。又は長距離バス。村と村の間はALSA のバスが走っている。小さな村もバスが走っているので細かく調べれば移動可能。車がある方が自由に動けますね。
ALSAのアストゥリアスの時刻表のページに飛びます。出発地と目的地を入れる < https://www.alsa.es/destinos/asturias.htm>
まとめ
スペインは意外と山岳国で国内に険しい山脈が連なっている。今のような交通機関が発達していなかったころに山の中でそれぞれの文化が熟成していったので一つの国に沢山の国が有るようだと言われる。アストゥリアスは自然の景観の綺麗な素朴な地域。ピコス・デ・エウロパやコスタベルデはスペイン人に人気のデスティネーションです。フラメンコや闘牛以外のスペインも是非とも楽しんでください。buen viaje!