旧約聖書に挑戦③はカインとアベルの兄弟の物語。小説やドラマに取り入れられるこの物語は人類最初の殺人事件だ。人間の神への愛や嫉妬、嘘や罪と罰がテーマになっている。
旧約聖書、カインとアベルの物語
カインとアベルはアダムとエバの息子たち
アダムとエバは楽園を追放されたあと子供を授かった。兄カインが生まれた後弟アベルも生まれた。カインは土を耕すものになりアベルは羊を飼うものとなった。
時が立ちカインとアベルは神に捧げものをする。兄カインは地の産物を神に捧げ、弟アベルは羊の群れの中の初子の最も肥えた物を捧げた。
神は不公平
神はアベルとその捧げものを喜ばれたがカインとその捧げものは喜ばれなかった。カインは憤りそして顔を伏せた。
神はカインに言った。
「なぜ顔を伏せるのですか?正しい事をしているのでしたら顔を上げなさい。もし正しい事をしていないのでしたら罪が門口に待ち伏せをしています。それはあなたを慕い求めますが、あなたはそれを治めなければなりません」
嫉妬したカインはアベルを誘って出かける
カインは弟アベルに言った。
「さあ野原へ行こう」
そこでカインはアベルを襲った。これが人類最初の殺人事件。
神はカインに言われた。
「あなたの弟アベルは何処にいますか?」
カインは答えた。
「知りません。私が弟の番人でしょうか?」
神は言われた。
「あなたは何をしたのですか?あなたの弟の血の声が土の中から私に叫んでいます。あなたは呪われこの土地を離れなければなりません。この土地はあなたの手から弟アベルの血を受けたからです。あなたが土地を耕しても土地はもはやあなたの為には実を結びません。あなたは地上の放浪者となるでしょう」
カインは追放される
カインは神に言った
「私の罰は重くて背負いきれません。あなたは私をこの土地から追放されました。私は地上の放浪者となり私を見つける人は私を襲うでしょう」
神は言われた。
「いや、そうではない。誰でもカインを襲うものは7倍の復讐を受けるでしょう」
神はカインが襲われないように彼に印をつけられた。そしてカインはエデンの東、ノドの地に住んだ。
カインの子供が生まれ子孫が増える
カインは妻を持ち子供が生まれた。その子の名前はエノクといった。エノクに子供が生まれその子にも子供が生まれた。
カインの子孫が全ての職業の元
カインの子孫が物を造る職業人の祖先となったと旧約聖書にある。
カインの子孫が築いたエノクの街に3人の兄弟がいた。トバルカイン、ヤバル、ユバル。それぞれ鍛冶屋、遊牧民、音楽家の祖先。
カインと言う名前も鍛冶屋鋳造者を意味する。
アダムにも再び子が生まれた
アベルは殺されカインは追放された。2人の息子を失い悲しみに暮れるアダムとイブに神は子を授けた。その子の名前はセツといった。アダムはその他に2人の子供を得て930歳まで生きた。その後9代後にノアが産まれた。
理解に苦しむカインとアベルの物語
この物語の意味や教訓は何だろう。
カインも神に捧げものをしたのに何故神はカインの捧げものを喜ばなかったのか。心理学ではカイン・コンプレックスという言葉も有る。親からの愛情の差による兄弟間の嫉妬の事だ。
アベルは持っている物の中で一番良いものを神に捧げたがカインの贈り物はそうではなかった。「顔を伏せた」とあるのは心にやましい何かがあった、神に捧げたものが一番良いものではなかったのかもしれない。
一神教の神はキビシイ、そしてすぐ怒るし不公平なのだ
旧約聖書の神は人間を罰して追放するのだ。アダムとエバをエデンの園から追い出した時もそうだった。大体最初から不公平で理不尽だ。
旧約聖書の神は完ぺきではないのだ。すぐに怒るし、だいたい不公平でやる事が理不尽だ。
でもその後どうやら人間にチャンスは取っておいてくれるようで、聖書によるとその後の人類は追放されたアダムとイブの子孫と、これも追放されたカインの子孫なのだから。
ここに「日本人と神」と「キリスト教徒(ユダヤ教徒、イスラム教も含め)と神」の関わり合いの違いがあり、考え方の違いの根本があるかもしれない。