マドリードのおすすめレストランはいくつかこのブログで紹介していますが個人的にオヤジ系バルやレストランが居心地がいいのでクラッシックなお店ばかりを紹介してきました。「こんなところも行くんですッ」という事で今日はウエルタス通りにある「Vi Cool」=「ビ・クール」をご紹介。ウエルタス通りはソルの近くのサンタ・アナ広場からパセオ・デ・プラドに伸びている通りで沢山飲食店が並んでいます。そこにカタラン人有名シェフ、セルジ・アローラ氏がカジュアル店を2011年にオープンしました。星付きレストランだと100ユーロから200ユーロ位のコースが普通ですがここでは創作料理を一皿10ユーロから20ユーロで楽しめます。
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Sergi Arola セルジ・アローラ
セルジ・アローラ氏はスペインで最も有名なシェフのひとり。最初はレストラン「エル・ブジ」のオーナーシェフ、フェラン・アドリア氏の元で修業した。今では世界各地にレストランを展開しテレビにも出ている有名人でミシュランの星付きレストランも経営していた(現在閉店)。最近はプライベートで色々問題があるようですが(Holaという芸能雑誌による)、料理とは関係ないのでここでは省略。今どきのスペインのヌエバ・コシーナ=創作料理の中心にいるシェフのひとりです。Vi Coolはそのセルジ・アローラ氏の料理を手ごろな値段で楽しめるカジュアル・レストラン。そのVi Cool のお昼の定食をレポートします。
*「エル・ブジ」は世界で一番予約が取れないと言われたカタルーニャのジローナ県のロサスという小さなな街にあった有名レストラン。座席50席のレストランに60人の従業員。人気が出過ぎて「自分の料理を見失った」とオーナー・シェフのアドリア氏は突然店を2011年に閉店し、今は料理の研究に没頭している。営業していた時も半年は料理の研究に費やし閉店、残りの半年のみ営業していた。(私はスペイン人のこういうところが好きでお金に支配されない人生観を持つ人達)
マドリード、ウエルタス通りCalle de Huertas
ウエルタスはスペイン語で畑という意味でこの辺りは16世紀は菜園だった。この通り沿いと交差する小道に沢山バルやレストランがあり週末は地元の人々や観光客でいっぱいだ。地元では有名な飲食街でこの辺りどこで食事をしても失敗はあまりない。
<マドリード、ウエルタス通り>
(上)写真は平日の13時頃に撮ったので随分空いていますが週末の夜はスペイン人がカップルや家族とバル巡りに出てくる地域です。そのウエルタス通りの12番地に今回紹介するVi Coolはある。ソル広場から徒歩7分、サンタ・アナ広場の方から歩けば3分、プラド美術館からでも1キロ弱なので徒歩10分程。
<Vi Cool入り口>
お昼の開店は13時。平日なので予約もしないで13時に行きました。入って予約してないですがと伝えると「今日は空いているから大丈夫よ~どこでも好きなところへどうぞ」。店内は斬新な装飾で明るい。
<Vi Cool 店内>
<Vi Cool メニュー>
(上)カルタ(お品書き)は昼夜同じですがお昼はMenu del dia=今日の定食があり前菜+クラッシック前菜+メイン+デザートで13,90ユーロ。ドリンク別。これはお得なので今日はメニュー・デル・ディア=お昼の定食をいただきます。(カルタ=お品書きはスペイン語と英語が併記されていました。)
内容は季節によって変わると思いますが本日のメニュー・デル・ディアの内容。
{前菜}
野菜のビチソワに焼きリンゴとネギとヤギのチーズ
又は
シーザースサラダ
又は
ほうれん草のカネロニ
{クラッシック前菜}
私たちのパタタスブラバス
又は
キムチ風味のチキン手羽
{メイン}
クリーミーなお米料理
又は
ハンバーガー
又は
サーモンの照り焼き
とワインを一本今日はリベラ・デ・ドゥエロのバリーカ19ユーロを頼みました。若いワインで少し硬い飲み口、もう少し上を頼めばよかった。
<ワイン・リベラ・デ・ドゥエロ>
Menu del Dia de Vi Cool
定食は前菜、メイン、デザートの中からチョイス制なので2人で違うものを頼んで両方味見出来るようにした。選んだのはビチソワとカネロニ、チキンとパタタス・ブラバス、ハンバーガーとお米料理を注文。レストランの人も「vais a compartir?」「分けて食べるの?」と聞いてくれたので「Si」「シー」
(下)最初にパン・コン・トマテ・イ・アホ。これはカタルーニャ地方で普通に食べる物。(パンにすりおろしにんにくとトマト)セルジ・アローラ氏はバルセロナ出身のカタラン人ですからね。アホはスペイン語でニンニクの事です。生のニンニクが入っているので薄皮はそのまま(手に臭いが着かない様に外さない)半分に切って自分でパンにすり込んでからおろしたトマトを乗せていただきます。
<パン・コン・トマテ、この横に生のニンニクが入っている>
entrantes callientes 暖かい前菜
(下)フランス料理の冷製スープ「ビシソワ」をスペインではビチソワと呼ぶ。スペイン語で「アホ・ブランコ」という言い方もありニンニクの利いた夏の冷製スープ。ここのは野菜クリームという感じで常温、中に小さな焼きリンゴとゴートチーズ。
<ビチソワ>
(下)カネロニもカタランの家庭料理です。パスタの中にほうれん草のクリームが入っていてオーブンで焼いて上にベチャメル・ソース(グラタン風ソース)。これは手間のかかる料理で自分で作ろうと思うと大変。
<ほうれん草入りのカネロニ>
entrantes clasicosクラッシック前菜
(下)パタタス・ブラバスはポテトにピリ辛ソースが乗ったスペイン・バルの定番料理ですがこちらはちょっとおしゃれにアレンジ。カリッと揚げたポテトの上にクリームと中にマヨネーズ。つまみとしては最高、可愛いし。
<パタタス・ブラバス>
(下)このチキンはまるで日本の居酒屋メニュー。何故か名前のキムチ味は感じず醤油の利いた衣。ネギがさっぱり感を出していい感じ。誰かキムチを間違って教えたか・・・?
<チキン手羽のキムチ風味>
Principales メイン
(下)Arroz Cremoso=アロッス・クレモソ=クリーミーなお米というのは日本だとリゾットの訳が解り易いかも。魚介の味がしっかりして少しアルディエンテで丁度よかった。
(下)ハンバーガーは本当にハンバーガー(パンにはさまれた)とは想定していなかった。ハンバーグが来ると思っていたらパンにはさまれたハンバーガーでびっくり。(スペイン語でハンブルゲッサというと両方を意味する。)でも大変満足。お肉もしっかりでパンもこだわりが感じられた。これはまたリピートしたい。そして付け合わせのポテトの揚げ具合が丁度良く100点満点でした。
Postre デザート
(下)デザートのチーズケーキは割とあっさり。こってりチーズケーキ好きには物足りないかもです。
<チーズケーキ>
(下)季節の果物を綺麗にカットして盛り合わせでした。
<フルーツ盛り合わせ>
メニューに出ていないデザートも教えてくれましたが今日は大好きなチーズケーキと果物で終了しました。
La cuenta 精算
メニュー・デル・ディア2名分とワインで46,8ユーロ。チップは2ユーロ置いてきました。
*お店のホームページが有るのですが店舗が他にもあり混乱しやすいページだったのでここではあえて載せませんでした。各レストラン紹介サイトなどで検索してください。
Vi Cool Madrid 住所 calle Huertas 12
毎日 13時から16時 20時から0時
時間や休みは変更がありますので注意。夜は予約したほうがいいでしょう。
<地図はソル広場から徒歩で>
最後に
定食の13,90ユーロはお得です。私は再びアラカルトで夕食に行きたいと思いましたが一緒に行った夫は「まあまあ」だそうでした。定食よりワインが高いのが我が家の問題、というか私の問題です。飲まない場合は定食なら安く上がりますね。有名店や星付きレストランに行くと最低ひとり200ユーロなのでマドリードでちょっとミシュラン星付きシェフの味を安価に試したいならいいのではと紹介しました。私は絶対次回アラカルト・メニューで夜に行きます。ではブエン・ビアッへ~
(補足*HOLA記事から料理と関係ないけどやっぱり書いとく事に)
セルジ・アローラさんはマドリードで1998年にLa Brocheで人気が出て次々レストランをオープン。マドリードにミシュラン2つ星獲得「Sergi Arola Gastro」で話題になったが当時のスペインの経済破綻の影響をもろに受けてしまった。そして今では当たり前の「メニュー・デグスタシオン」のみのカルタと「お客様はジャケット正装お願いします」も時代にマッチしなかった。そして長年一緒に成功への道を歩いてきた奥さんと離婚、テレビ番組で知り合った女優と話題に、でもすぐ別れ・・・今下り坂なのが残念。星付きレストランも2017年から閉店中です。早く元気になってまた話題になっていただきたいです。