2020年3月12日から閉館していたプラド美術館が6月6日から再オープンです。9月13日までの特別展示で250点の作品を中央のギャラリーを中心に展示しています。通常とは廻り方が異なりゴヤから入ってムリーリョから出る一方通行になりました。
2020年6月6日から9月13日まで
2020年9月13日まではゴヤ門からのみの入場、出口はムリーリョ門からです
*入場県はウェブ購入のみで7.5ユーロ、18時以降は無料
*入り口で体温検査があり37.5度以上なら入場できません。
*手荷物検査があります。
*大きな荷物を預けるところはありません。
*展示されているのは250点、9月13日までのポストコロナの特別展です。
ここから下は通常展の案内です(絵の説明はあるので参考にどうぞ)
プラド美術館の廻り方を解説します。プラド美術館で見逃してはいけない作品を無駄なく鑑賞して約1時間~1時間30分で次へ移動できるように考えました。南のムリーリョ門から出るとレイナソフィア芸術センター(ピカソのゲルニカが有ります)迄歩いて10分、ゴヤの入り口の方からティッセンボルネミッサ美術館へ徒歩5分です。
プラド美術館の入口は2か所
プラド美術館には2か所の入り口がある。
*写真下左寄り、切符売り場の上に有るゴヤの入り口と
*写真下の上の方サン・ヘロニモス教会横のヘロニモスの入り口。
*写真右側のムリーリョの入り口は学校団体専用
写真下のゴヤの銅像(後姿)の向こうに見えるのがプラド美術館切符売り場。
切符売り場の両側から階段を登るとゴヤの入り口。
左の方に教会がありそちらに進むとヘロニモスの入り口が有る。
南側にムリーリョ門があり(入場は学校のグループ専用)があり出ることは出来るのでプラドの後ソフィア王妃芸術センターに歩いて行くならムリーリョの出口から出ると徒歩10分位で到着できる。
プラド美術館ゴヤの入り口の方からネプチューンの噴水を反対側にわたるとティッセンボルネミッサ美術館でこの辺りはアート好きには嬉しい黄金の三角地帯。
プラド美術館最寄りメトロ
プラド美術館に行くにはメトロ2号線<セビージャ>または<バンコ・デ・エスパーニャ>から徒歩10分。1号線<アトーチャ>からも徒歩10分。バンコ・デ・エスパーニャからシベーレス〜プラドの遊歩道と歩くと綺麗なところを見ながらの散歩道。
プラド美術館の開館時間および休館日
毎日10:00から20:00(日曜祝日~19:00、1月6日、12月24日31日~14:00)
休館日1月1日、5月1日、12月25日
プラド美術館に無料で入るなら
プラド美術館は閉館時間2時間前から毎日無料になる。入場料15€が無料になるのは魅力的だ。
平日18時~と日曜祝日17時~は毎日無料。30分~45分前には列ができる始めるので早めに行って少し並ぶ覚悟でどうぞ。
プラド美術館空いている時間
無料じゃなくていいのでゆっくり鑑賞したい方は意外と空いているのは13時、14時、15時頃のお昼時です。
*朝いちばん10時が一番混んでいる。
手荷物検査があります
プラド美術館入場時に手荷物検査が有ります。空港と同じ要領で体は機械を通り、荷物も機械を通します。
持って入れないのは危険物、刃物類、自撮り棒、三脚、大きなカバンや大きなリュック等で入り口に荷物預け(Consigna=コンシグナ)が有り無料で預けることが出来る。
水や折り畳み傘はカバンに入っていれば持って入れる。
*カバンを預けても貴重品は念のため自分で持ちましょう。
入場は2か所、ゴヤの切符売り場上又はヘロニモス教会下
プラド美術館所蔵品は約2万点のコレクションで常設展だけで12000点の展示。美術好きの方は2日間くらいゆっくり鑑賞してもいいですがあまり時間がない方の為にさっくりコースで約1時間~1時間半くらいで回れるようにご案内します。私のプラド美術館おすすめ絵画を無駄なく回ります。
ヘロニモスから入りエレベータ―で1階(日本の2階)へ移動後上地図の左の方へ移動する。
又はゴヤの入り口(日本の2階)から入るとまずはベネチア絵画が並ぶ。
当時のスペイン国王カルロス5世とフェリペ2世のコレクションだったもので膨大なコレクション。ティチアーノ、ティントレット、大きな作品ばかりを見ながら移動。ベネチアは人間が海に石を積み上げて創った人工的な街で自然が少ないので鮮やかな色に憧れた。油彩画の綺麗な色の神話がや聖書の物語を堪能します。
ティントレット
*ティントレットはイタリアルネッサンスの画家。ティチアーノの弟子にあたりベロネーゼと共にベネチア絵画を代表する画家。
弟子たちの足を洗うキリスト(25番の部屋) 1547年ころ。床の絵タイルで遠近法が効果的。右の方に弟子の足を洗うキリスト。左には裏切者ユダが。遠景に当時のベネチアの街。
*実はこの絵が面白いのは絵をどこから見ても絵を見る人が中心になる。左右に大きく動きながら絵を見てみてください。どちらから見てもテーブルがいつも自分の方を向いている不思議な絵です。
エル・グレコ
プラド美術館スペイン3大巨匠のひとりがエル・グレコ。上記ティントレットと共にベネチアのティチアーノの工房で働き学んだ。ベネチアからスペインにやって来てトレドで活躍したが生まれはギリシャのクレタ島。スペイン国王フェリペ2世に仕えたかったがエル・グレコの絵はフェリペ2世の好みではなかった。その後トレドに移住して活躍した。注文主が教会だったのでほとんどが聖書の場面や教会の祭壇画だったもの。
下は受胎告知1570年ころ(9Bの部屋)。左が聖母マリア右のほう上空から降りてきた大天使ガブリエル。天上界では天使たちがお祝いの音楽を奏でている。
隣の部屋(8Bの部屋)にエル・グレコの数少ない肖像画。胸に手を置く騎士の肖像。ジーッと見つめると穏やかな声で話しだしそうです。胸に置く手の形はエル・グレコがよく使った真ん中指と薬指をつけた形。
写真下:エル・グレコ最後の作品である羊飼いたちの礼拝(10Bの部屋)はトレドにあるサント‣ドミンゴ・エル・アンティグオ教会の祭壇画として描かれた。最晩年の絵なので色に深みが出て光源をキリストのみに絞り、周りの人にあたる光の研究。暗い教会の中で信者の視線は赤子キリストへ集まるように描いている。
宗教画は私たち日本人にはあまりなじみが無く敬遠されがちですがちょっとだけ知識があると楽しんで鑑賞できます。プラド美術館の絵画で読み解く聖書の記事。
ティチアーノ
プラド美術館、中央回廊に戻るとベネチアの巨匠ティチアーノのカルロス5世とフェリペ2世。馬に乗っているのがカルロス5世。遺産相続で大帝国を手に入れた国王で神聖ローマ帝国皇帝。この時代がスペイン・ハプスブルグ帝国の頂点だった。
<ティチアーノ作カルロス5世騎馬像>
フェリペ2世はその息子。さらにポルトガル領土を手に入れて日本に宣教師をたくさん送ってきた国王。「太陽の沈まない国」スペインの大帝国の時代。
< ティチアーノ作フェリペ2世肖像画>
ベラスケス
プラド美術館3大巨匠のひとりベラスケス。有名な作品ラス・メニーナス1656年(12番の部屋)は必見。真ん中に王女マルガリータ。
ラス・メニーナスの左側に画家本人ベラスケスが絵筆を持ってこちらを見て立っている。奥の鏡の中にフェリペ4世国王夫妻。光の扱いによる部屋の空間表現、絵の中の動きや時間の経過、衣装の素材感等を感じてください。そして鏡の中に映っているのはあなた自身と思って絵の前に立ってください。向こう側の人たちがこちらを見ていたことに気が付きます。
*絵に近づいたり離れたりして見てみると離れれば離れる程絵の奥行が増していきます。
このラス・メニーナスはプラド美術館の中でも特別扱いの作品です。是非ともゆっくり鑑賞して帰ってください。
画家ベラスケスと当時のスペインの歴史記事です。
ムリーリョ
ベラスケスと同時代に活躍したムリーリョは美しい聖母マリアの絵で有名。「無原罪の御宿り」(16番17番の部屋)の聖母は当時の人々の心の支えになった。
ムリーリョは南スペインのセビージャで活躍した画家。薄もやの中にいる様な神秘的な絵を描き特に外国で人気があった。
ルーベンス
中央回廊に戻り前進するとピーター・ポール・ルーベンスの絵画が並ぶ(28~28番あたり)。
写真下はルーベンスの三美神。プラド美術館の中で有名な作品です。三人の女神たちが与えあって慈しみあっている人間の理想の関係。女性の肌の色が透明感があって綺麗です。今だとちょっと太めの女性達ですが当時の流行とルーベンスの個人的な好み。左端の女性がルーベンスの二度目の結婚相手。53歳の時16歳のエレーヌ・フールマンと再婚。
ゴヤ
更にこの回廊を進んでいくと突き当りにゴヤの絵が置かれている。プラド美術館3大巨匠最後の1人はゴヤです。
突き当りの部屋(32番の部屋)に有るカルロス4世と家族の肖像画は1800年に描かれたゴヤの出世作。ゴヤが仕えた王様とその家族。
女性達の衣装の色の透明感がとってもきれいです。左端後ろの方からこちらを見ているのが画家本人。ゴヤの近代性は人間の内面描写。ここにいる人々の内面が解るように描かれていて国王の表情からのんきそうな人柄がよく出ている。
この部屋から右の方へ、通路を横切り左へ行くと裸のマハと着衣のマハ(36番の部屋)。プラド美術館の目玉の作品ですがこの2枚は良く貸し出されます。
見るポイントは裸の方の透明感やゴヤの絵の肌色の独特の美しさ。
謎の多い作品ででなぜ裸体画を描いたか、2枚の絵のタッチの違い、裸の方の首から上が不自然なのはなぜ?
モデルはアルバ公爵夫人という貴族の女性説が有力だが未だに数々の謎が有る作品です。
廊下の方に出て少し進むと階段。下の図の右の方39の部屋の横の階段を降りる。
下の階に降りていくと日本の1階部分に到着。
階段を降りて10メートル程歩いて右手の部屋へ入ると左右に部屋にゴヤの晩年の作品。1808年5月2日と5月3日という大作(64番65番の部屋)と黒い絵シリーズ(67番の部屋)が並ぶ。
晩年のゴヤの作品。写真は5月3日。ナポレオン戦争でマドリードにフランス軍がやって来て民衆が処刑された。戦争が終わってからゴヤが描いたもので人類が描いた最初の「ヒーローがいない戦争画」マネやピカソに影響を与えた作品。
ゴヤの黒い絵シリーズは晩年のゴヤは聴覚を失い戦争で人間嫌いになり、町の郊外に一軒の家を購入しそこで一人暮らす中家中の壁に絵を描いていた。
写真はわが子を食らうサトゥルノス。
ボルドーのミルク売り(64番の部屋)。ボルドーに亡命したゴヤが亡くなる前に描いた最後の絵だと言われているがいまだに偽物説も。綺麗な作品で亡くなる前の作品ならゴヤの心はこの絵のようだったかも。涙が出そうになる優しさのある作品です。
もしもう少し時間が許せばここから0階中央に戻ってあと1点。
ヒエロニムス・ボス快楽の園
快楽の園(56Aの部屋)現オランダにあるスヘルトーヘン・ボス出身の画家。サルバドール・ダリ達(シュル・レアリスト)に影響を与えた作品。
1500年頃まだ絵画は教会の聖書の場面が中心だったころに不思議な魑魅魍魎とした世界をユーモラスに描いていて一つ一つのモチーフはまるで今のアニメやゲームに使えるくらい斬新で面白い。両側の翼の後ろにも絵が描かれている。扉を閉めると地球が現れます。この作品もプラド美術館の宝と言われている。
プラド美術館まとめ
スペイン旅行でマドリードにいるならば時間が無くても絶対におすすめがプラド美術館です。時間の無い方の為に有名どころを迷子にならずに無駄なく回れるようにコースを作りました。
まだまだ素晴らしい作品があるプラド美術館ですが今日の所はこの辺で。
ギリシャ神話を少し知っているだけで美術館は数倍楽しくなります。絵画で楽しめるようにギリシャ神話をプラド美術館の作品を中心に紹介しています。