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サン・セバスティアンは北部スペインのバスク地方、ほぼフランスとの国境にある街だ。人口18万人くらいの小さな街の30キロ以内にミシュラン星付きレストラン約30件、人口比星付きレストランが1番多い街。バスク語では「サン・セバスティン」の事を「ドノスティア」と呼ぶ。美食の街サン・セバスティアンの歴史と美味しいおすすめバルについて書いてみました。
サン・セバスティアン美食の街
サン・セバスティアンについて
サンセバスティアンはフランスとの国境近くにありピレネー山脈のふもと。ビスケー湾い面した美しい街。入り江が貝殻の形をしていてその名もラ・コンチャ=貝殻。2つの小高い丘に囲まれその間に綺麗な湾、旧市街にひしめくようにバルがある食の街。
ヌエバ・コシーナの歴史
ヌエバ・コシーナは新しい料理という意味。19世紀にスペインの上流階級の人達がサン・セバスティアンに避暑にやってくるようになった。別荘が出来、ホテルが作られ、料理人が必要になり、始めは地元の主婦や小さな定食屋のコック達が腕をふるって食事は美味しいと定評があった。
もともと海あり山あり食材の豊かな土地。美味しいものを食べる事にかけてはサン・セバスティアンは定評のある地域だった。写真はアルザックというミシュラン星付きレストランの前菜。お皿に盛られたアートです。
<アルザック、ミシュラン星付きレストラン>
<ミシュラン星付きレストラン、アルザック>
<ミシュラン星付きレストラン、アルザック>
フランスの「ヌーベル・キュイジーヌ」流行の頃にサン・セバスティアン出身の若い料理人達がその洗礼を受け、修行をして「ヌエバ・コシーナ」として新しい料理を開発し発表。
更にカタルーニャのジローナに有った「エル・ブジ」のオーナーシェフ「セニョール・アドリアン」が日本の懐石料理に夢中になり日本の「旨味」「タタキ」「ユヅ」等が紹介される様になった。
ちなみにこのアドリアンさん。お店は超人気で「予約が最も取れないレストランNo.1」だったのに突然お店を畳んで「もっとお料理の研究がしたい」と引退。今ももしかして日本の何処かで美味しい物を食べて研究しているかも。
次第にサン・セバスティアンのコックたちが伝統の料理に新しいエッセンスを使い話題になって行った。凄いのはさすがスペイン、横の連携。レシピを秘密にせず公開してみんなで切磋琢磨しみるみるあっという間に世界一の美食の街になった。「分子料理法」や「温度調理」今までに無かった概念、料理法がどんどん開発されそのレシピはすぐに公開され共有されていく。
サン・セバスティアンの星付きレストランは日曜、祝日お休みが多い。さらに8月はしっかり従業員を休ませバカンスに入る。「掻き入れ時」なんて感覚は全く持ち合わせていません。休みはしっかり取って美味しい物を研究し提供する姿勢は全くブレていなくて徹底している。
レストラン業を「商売」だと思っていないのでは、と私は思っている。そう、これは「アート」なんだと。彼らはお金に支配されない「美学」を持って生きているのだ。
サン・セバスティアンはバルのレベルがすごい
旧市街にはバルが所狭しと並んでいてそこで出される料理は高級店並み。ピンチョスやタパスと言われる小皿料理を低価格で楽しめる。
サン・セバスティアンの老舗バル、ガンダリアスのカウンターに並ぶピンチョス。
サン・セバスティアンの市場La Brexa
サン・セバスティアンで時間があったら市場も見に行ってみましょう。旧市街の入り口に地下に降りていくと地元の人がお買い物にくる市場がある。メルカード・ラ・ブレチャMercado La Brexa。
<サンセバスティアン・市場>
<サン・セバスティアン・市場>
魚売り場の展示、様々な新鮮な魚、ヒラメやアンコウ、メルルーサ、カニやエビなど。こ展示の仕方が凄い、これって生け花に近いものかも。
サン・セバスティアンの入り江、コンチャ湾
サン・セバスティアンの綺麗な海岸線が貝殻の形をしていて19世紀に上流階級の人々がやって来て避暑地として過ごした。海岸線を朝や夕方お散歩する人達がいつも絶えません。
<コンチャ湾と向こうに見える丘がモンテ・ウルグル>
モンテ・ウルグル
サンセバスティアンはコンチャ湾をはさんで二つの丘に挟まれている。そのひとつがモンテ・ウルグルでこ港の上にキリスト像がある要塞の有る小高い丘。
モンテウルグル行き方
徒歩15分、こんな軽い山道を登って行きます。
旧市街の港の近くから矢印が有るので歩いて登る。分かれ道が沢山あるけれどとにかく上って行けばキリスト像の有る要塞まで行くことが出来る。
モンテ・イゲルド
ウルグル山の反対側にモンテ・イゲルド(イゲルド山)がある。山の上に遊園地とホテルがある。
<モンテ・イゲルドからのコンチャ湾>
モンテ・イゲルト行き方
*ケーブルカーFunicular
11時から20時頃(注意*曜日や季節によって10から始まる日や18時に終わることもあります)
*タクシーで10分 10ユーロから15ユーロ位。遊園地に入るため入場料一人2,20ユーロ別途必要。
サン・セバスティアン旧市街のおすすめバル
サン・セバスティアンはどこで食べてもはずれは無いが何軒か私の個人的におすすめバルを紹介しておきます。
スペインでは何軒か梯子をするのが基本。今日紹介するサン・セバスティンお勧め4軒と港のレストランで2日間位食べ比べで楽しんでください。
木曜日は割引デーで各バルがお得なセット等をやっています。
サンセバスティアン一番人気バルGandariasガンダリアス
サン・セバスティアンの老舗の中の老舗です。なんといっても絶対おすすめのバルなので行かなければなりません。
ガンダリアスのバルはいつも人気でいっぱいでギューギュー。椅子が無いバルなので立ったまま食事です。カウンターにピンチョが並んでいるのでお皿をもらって好きなものを取りましょう。
落ち着いて座って食べたい場合は奥にテーブル席。あらかじめ予約したほうがいいでしょう。
①カウンターでオラーとにっこり笑って挨拶をしたら飲み物を頼む
②お皿をもらう
③名前を聞かれるのでお皿を見せてどれを取ったかレジに打ち込んでもらう
④ピンチョ以外で頼んだものが出来たら名前を読んでくれる
⑤追加分も一括に最後にまとめて会計=ラ・クエンタ・ポルファボール
<サン・セバスティアンおすすめバル・ガンダリアス>
カウンターに乗っているピンチョ以外の暖かい料理は黒板に手書きで書かれている物を注文です。
*ガンダリアス公式ページからメニューを写真付きで見ることが出来る。
https://www.restaurantegandarias.com/es/
*Jamon Iberico=ハモン・イベリコ=イベリコの生ハムはホセリートというブランドの最高の生ハム。頼み方=Un racion de Jamon Iberico=ウナ・ラシオン・デ・ハモン・イベリコ。最後にPor favor=ポル・ファボール=お願いします、をつけましょう。
*Croquetas de hongos=クロケタスデオンゴス=キノコのコロッケ=4つ入り
他にもリゾットとかスペアリブとかエントレコット(サーロインステーキ)とか美味しい物いっぱいです。
<サン・セバスティアンおすすめバル・ガンダリアス>
<サン・セバスティアンおすすめバル・ガンダリアス>
サン・セバスティアンおすすめバルGambaraガンバラ
バルは梯子をするのが基本です。サン・セバスティアン2軒目のおすすめバルは今のガンダリアス直ぐ近くにあるガンバラ。
サン・セバスティアンの地元お客さんがいつもいっぱいいるのは絶対美味しいから。椅子が少しだけあります。
下はガンバラの公式ページ
http://www.ganbarajatetxea.com/presentation
<サン・セバスティアンおすすめバル・ガンバラ>
ガンバラはキノコが有名。入ったところはバルで地下に本格レストラン、そちらも美味しい。
<サン・セバスティアンおすすめバル・ガンバラ>
人気はボレトゥス アラ プランチャ(boletus ala plancha) キノコのソテーに卵が落としてある。これを混ぜていただきます。
①入ったらまずにっこり笑って挨拶、オラー
②飲み物を頼む
③ピンチョを指さし
④カウンターにないものは口頭で頼む
⑤精算はラ・クエンタ・ポルファボール
*キノコの頼み方=Una rachion de boletus a la plancha por favor
ウナ・ラシオン・デ・ボレトゥス・ア・ラ・プランチャ・ポルファボール
省略して「ボレトゥス、ウノ~」でも充分通じる。
<サン・セバスティアンおすすめバル・ガンバラ>
地下はレストランでゆっくり座っていただきたい場合は地下へ。魚介のスープ目茶美味しかったです。
サン・セバスティアン人気バルCuchara de San Telmoクチャーラ・デ・サンテルモ
次に紹介するサン・セバスティアンおすすめバル、クチャーラ・デ・サン・テルモは創作料理やかなり凝った料理を小皿で色々出している。どれもとっても美味しくてびっくりです。
もともと下で紹介する別のバルBorda Berriにいたオーナーシェフが分かれて出した店舗。
お客さんは地元の人よりイギリス人が随分多いのは本か何かで紹介されたのかもしれません。いつも劇混みでギューギューの所に入って行くのは日本人的は少し怯みますが大丈夫、皆さんあまり長居はしないので頑張って入りましょう。
<サン・セバスティアンおすすめバル・クチャーラ・デ・サンテルモ>
メニューは黒板に手書き。ほとんど読めないし、わからない・・・周りの人の食べている物を指さすか話しかけて教えてもらいましょう。
小皿とはいえボリュームがあって一皿いただくとお腹いっぱいに。
<サン・セバスティアンおすすめバル・クチャーラ・デ・サン・テルモ>
<サン・セバスティアンおすすめバル・クチャーラ・デ・サン・テルモ>
上の写真はクチャーラ・デ・サン・テルモのラビオリ。かなり大きいのでこれひとつでお腹いっぱいです。
メニューの例と頼み方
*ラビオリ=Una de Raviolo por favor=ウナ・デ・ラビオリ・ポルファボール
*子牛の頬肉の煮込み=Carillera de ternera=カリジェラ・デ・テルネラ・ポルファボール。これは高級レストランでいただく美味しい一品。
*子豚=Cochinillo=コチニージョ・ポルファボール
メニューは頻繁に変わるので上記のがない事もありますのであしからず。
サン・セバスティアンおすすめバルBorda Berriボルダ・ベーリ
創作料理をバルで出すのはここボルダ・ベーリから始まった。高級レストランで出るような凝った料理をミニアトゥール(ミニサイズ)にして出した最初のバルです。
<サンセバスティアンおすすめバル・ボルダ・ベリ>
店内は非常に狭くカウンターのみ。黒板に手書きのメニューです。リゾットや魚、お肉どれも繊細な味で大変美味しいです。写真はフォアグラ。
<サン・セバスティアンおすすめバル・ボルダベッリ>
ボルダ・ベリのメニューは黒板に手書き。とても読めないし何が何だか・・・ご心配なく、お店の人は英語が話せます。
一部私のおすすめを訳してみた。
メニューは頻繁に変わるので上と同じものがあるとは限りません。周りの人が食べている物を指さしてあれ下さいでもオッケーです。
港の方に出ると魚介類レストラン
上で紹介したモンテ・ウルグルの真下にサン・セバスティアンの漁港があります。港沿いに漁師たちがやっている魚介類レストランが何軒か並んでいて最高においしい。
サンセバスティアンというと星付きレストランやバルだけが紹介されていますが港のレストランも滅茶苦茶おすすめ。
中心部のバル街から歩いてすぐ。海があれている時期は閉まっていたり冬のオフシーズンは閉めている店もあり。
サンセバスティアンの漁港
サン・セバスティアンの港沿いに何軒かレストランが並んでいます。どこでも美味しいですよ。
イワシは季節もので無いときもありますが絶品。
<イワシはスペイン語でサルディーナス>
チャングーロはサン・セバスティアンに来たら絶対食べて帰らなければいけない。カニの味噌とカニの身をほぐしてグラタンの様にしてあるサン・セバスティアンの料理です。
<チャングーロ>
マドリードからサン・セバスティアンの行き方
マドリードからサン・セバスティアンに行く方法はバスか飛行機か鉄道
Alsaの長距離バス
alsa アルサという長距離バス会社がマドリード 空港ターミナル4からとアベニーダ・アメリカのバスターミナルからサンセバスティアンへ約5時間30分
alsa のページから確認してください。切符も買えます。下がバス会社のページ。
https://www.alsa.es/rutas/madrid-san-sebastian.htm
飛行機
マドリードのバラハス空港ターミナル4からイベリア航空又は子会社エアー・ノストラムがマドリードとサンセバスティアンを1時間15分で結ぶ。 値段は片道70~379ユーロと開きが大きい、早めに探すと格安で購入できることも。イベリア航空で日本からマドリッドに切符を買えばOn to=オントゥーと言っておまけの航空券がつけられる場合があるので旅行会社に相談してください。
ビルバオからバスで1時間
ビルバオのサンマメスサッカー場の近くにバスターミナルがあり頻繁にサン・セバスティアン行きのバスが出ています。
直行便1時間35分、時々村を経由する路線に乗ると1時間45分。少し遠回りですが小さな村も見ることが出来て楽しい。
折角バスクを旅するなら他の都市も行くと良いですね。マドリードから飛行機でビルバオ、又は他のヨーロッパの都市からビルバオ行きのフライトがある。
サン・セバスティアンのホテル・マリア・クリスティーナ
サンセバスティアンにある5つ星のホテル、マリア・クリスティーナは国際映画祭の時には有名人たちが宿泊するエレガントなホテル。動画で紹介しています。
サン・セバスティアンまとめ
世界遺産があるわけでもなく有名美術館があるわけでもないサン・セバスティアン。食で世界中の人々を引き付ける魅力的な街です。山と海に囲まれた小さなバスクの街。一度行くと絶対虜になります。何泊かするのならフランス寄りにオンダリビアという小さな街に行ったり国境を越えてフランス・バスクの街を訪ねたりするのも良いですね。